2024年10月19日

公式エリア大会『ディバイドバトル3rdセッション中部エリア』名古屋会場レポート

9月23日。無慈悲な台風によって延期となったディバイドバトル中部大会が3週間の時を経て開催された。
ある意味ではより洗練されたデッキがぶつかり合う形となった今大会、果たして台風の目となるのはどのデッキなのか。私も目が離せない。
 





テリトリー分布 

では今大会で活躍した主要デッキを解説していこう。テリトリー分布はこのような形になっている。
 






 使用テリトリー
 フラッシュバッカー
 イシュタルテ(焼炙の門)
 カミーリア(超越者の揺り籠)
 イグドラ(荒霊の霊域)
 グリゼルダ(次元転送網 メルクリウス)
 カタリナ(春光の音楽会)
 アルタミラ(大空洞の司令塔)
 ロイ・マスタング(焔の錬金術師)
 カノン(AGE OF CRAFT)
 ライル(まつろわぬ影)
 その他

今大会に置ける最大勢力は「フラッシュバッカー」、そして「焼炙の門」、「超越者の揺り籠」と続いている。
その他のデッキも数多く、そういったデッキにも環境の中心である「フラッシュバッカー」を意識したカードが随所に見られた。
今回はフラッシュバッカーの強みと、そのデッキにどのように他のデッキが対応しているかを簡単にではあるが紹介したい。
 
 
 
ビルディバイドブライトで登場したテリトリーであり、このデッキのキーとなる「ぼっち・ざ・ろっく!」のユニットたちが持つ【結束】は、対応属性が登場しているとカードを引ける能力だ。 
これに「フラッシュバッカー」が加わると、毎ターンライフを1枚減らすだけで、ユニットが増え、手札も増える。 
そしてこの戦術を支えるのは多種多様で優秀な能力を持つエース達だろう。 
「エナジーから登場させる」という選択肢の広さも相まって、柔軟に戦えるのがこのデッキの魅力。 
この対応力を土台に軽量コマンドや妨害系コマンドを構えるデッキなど、非常に多くのパターンが見かけられたが、特に目立ったのは高速展開でライフを削り切ってしまうタイプだ。 
「燈火の玉兎ラビアン」や「野蛮な晩餐」などのエナジーを増やすカードと組み合わせた構築が良い結果を残していたようだ。 
 
もちろん、他のデッキも負けてはいない。そんなカードたちも注目カードとして紹介しよう。 




注目カード


「旋舞回撃 カティ」
コマンドによるサポートこそ必要だが、バトルでほぼほぼ負けないデコイユニット。
特に「ユニットはユニットのアタックで処理する」タイプや軽量級重視のデッキでは全く手が出せない場合もあり、このカード1枚で完封する事も少なくない。
「呪われた切札」などのようなパワーに拠らないカードを採用しなければ対処が難しい、まさに環境におけるコントロールの女王というユニットだ。

「霹靂一閃・八連」
低~中コストを軸にしたデッキに対し、1枚で盤面を崩壊させる事ができる超強力なショットトリガー。
高速展開重視のデッキはユニットのほとんどが総コスト5以下という事も珍しくなく、このショットトリガーで形勢が激変したという人も多いだろう。
同じ効果でプレイコストが異なるカードもあり、白いカードの割合に応じてそちらを採用している構築も見受けられた。

「開演の天使 ヴァルディ」 
登場時に「霹靂一閃・八連」と同様の効果を放てるユニット。 
手札に戻すので再展開されてしまうものの、6コストでユニットをまとめて処理しつつ攻撃を受け止めるデコイを持っているため、ライフの削りあいでは非常に頼りになるユニットだ。 
Dデッキなどを活用して「赫灼竜 ヴォルガネード」からこのユニットを出すデッキもあり、今の環境にマッチしている1枚である。 
 
あまり盤面にカードを出さずに構えるデッキよりも展開を重視するデッキが台頭してきた事もあり、「超越者の揺り籠」を筆頭とする盤面をコントロールするデッキも様変わりしていた。 
なかには4色でライフを回復しながら攻勢を仕掛けるデッキや、エナジーをスタンドする効果を活用して戦うデッキ、相手の行動を徹底的に抑制していくデッキなど、ユニークかつ強力なデッキも多かった。 
 




決勝ラウンド 

そんな激戦の中、決勝ラウンドに進出した8名の選手とデッキをご紹介しよう。 
 
LEPUS | もとや ZY6gHmnzM1Y
high-ghost 7k20IEB60y6
まほっち YovDtp8vg14
今日の夕食 E5DWf5lD0Op
Arχiv アーク Awq6hrD96m2
クラ助 1DGVIl4PE6a
くろんげ 534wH2QYNzP
タケル pPOvuwlrxax
 
そして、長き戦いを勝ち抜き決勝まで上り詰めた2名は、「フラッシュバッカー」のhigh-ghost選手、「春光の音楽会」のArχiv アーク選手だ。 
今回はこの決勝戦を筆者の解説とあわせてお届けしたい。もちろん動画も配信されているので、ぜひそちらも見てほしい。 

 https://www.youtube.com/watch?v=tSU2UP7s-Nw&t=4354s

ではまず両選手のデッキを軽く確認しておこう。
high-ghost選手の「フラッシュバッカー」とArχiv アーク選手の「春光の音楽会」、どちらも速さと展開力に優れたデッキだ。
「フラッシュバッカー」は先ほど解説にもあげた「燈火の玉兎ラビアン」や「野蛮な晩餐」を搭載し、さらにショットトリガーの枠すらも削って赤いコマンドを重点的に採用した構成。
対する「春光の音楽会」も負けていない。2種類のカタリナはどちらもDデッキから相棒をコストなしで呼び出す事ができ、さらにテリトリーのコストは4。一足早い展開が可能だ。
軽量ユニットも多数採用されており、ラッシュ力も十分……ではこのマッチアップ、カタリナ有利かと言われるとそうでもない。
「春光の音楽会」は相手のユニットが手札に戻った時に相手の手札を捨てさせ自分がドローできるという超強力な効果を持つのだが、これはエナジーを2枚裏にすると防ぐことができる。
カードが引きやすく色指定コストが1のカードが多い「フラッシュバッカー」はこの選択肢に対応しやすい為、カタリナ側が「春光の音楽会」によって主導権を握るのは難しい。
半面、4色デッキであることやキーカードの「星座になれたら 喜多郁代」が3色を要求してくる点などもあり、選択を誤れば一気にプランを崩されてしまうこともありうる。
 
それぞれ相手に有利な箇所と不利な箇所を持つこのゲーム、どちらに転んでもおかしくはないだろう。観客を魅力し勝利を掴むのはhigh-ghost選手の結束バンドか、Arxivアーク選手の歌姫の天使か。
 
Arχiv アーク選手の先行でゲームが開始される。
開幕、Arχiv アーク選手の先攻1ターン目の「燈火の玉兎 ラビアン」からのスタート。続くターンで「桃桜祭の天使 カタリナ」によるテリトリー開放と理想の展開に。
まだ2ターンだが、この段階でArχiv アーク選手の盤面にはアタック可能なユニットが3枚、最速でhigh-ghost選手の削りにかかる。
ショットトリガーによって最悪の事態は免れたものの、high-ghost選手は「野蛮な晩餐」でエナジーを増やすのみ。怒涛の連撃によってあっという間にライフ3まで追い込まれてしまう。
 
だが、ここからが結束バンドの本領発揮。High-ghost選手は「審査する者 伊地知星歌&PAさん」でテリトリーを開放。「フラッシュバッカー」の効果でエナジーから「星座になれたら 喜多郁代」を登場させる。
エースと共に8500の大型ユニットが登場するのはいつ見ても強力だ。伊地知星歌&PAさんの効果で破壊時効果を持つカタリナをエナジー送りでしっかり処理。テリトリーの効果で失ったライフも回復効果で取り戻すのも忘れない。
 
勢いがでてきたhigh-ghost選手、さらにArχiv アーク選手が返すターンで「情熱精霊 フランドル」を出し、喜多郁代を手札に戻そうしたところを、手札から「百獣王の怒り」をプレイ。
前ターンの「野蛮な晩餐」によるエナジー加速がこのタイミングしっかりと活かされた対応だ。
High-ghost選手のライフは3なので、もう一度攻めのラッシュが来てしえば耐えられる保証はない。だが、Arχiv アーク選手の手札も1枚のみとなり。ここからもう一押しが最も難しいのは重々承知だろう。
 
主導権を握ったHigh-ghost選手は手を休めずに盤面展開。先ほど処理した「星座になれたら 喜多郁代」もフィールドに戻ってくる。結束のドローで手札が増え、結束バンドの勢いはとどまる事はない。
 
もちろんArχiv アーク選手も黙っている訳ではない。手札の「霹靂一閃・八連」でエース達を押しとどめつつ、「春光の音楽会」の効果も発動してカードを引くのを狙う。
当然この「1枚」がゲームの趨勢を決めかねない以上High-ghost選手がそれを見過ごすはずもなく、エナジーを裏にしてカードを引く事を許さない。
 
ブロッカーを残しつつ相手のライフを削り始めるHigh-ghost選手。あっという間にArχiv アーク選手のライフは3枚まで削られてしまう。これでArχiv アーク選手も、1ターンの攻撃で決着がついてしまう圏内のライフとなる。
だが、強力な「フラッシュバッカー」にはリスクが伴う。効果を使う毎にライフが減っていき、High-ghost選手のライフは1。ここでArχiv アーク選手は満を持して手札の「開演の天使 ヴァルディ」をプレイ。相手のブロッカーごとユニットを手札に戻す。あとはこの攻撃を通せば勝利!
……という状況を狙っているのはHigh-ghost選手も想定済みだったのだろう。ここで先ほどと同じ「百獣王の怒り」でヴァルディを破壊。勝利への一撃は不発に終わった。
だが、このヴァルディは無駄ではない。残されたターンが少ない中、相手に貴重な除去カードを使わせた事は次のターンに利いてくるはずという構え。
そして返しのターン、High-ghost選手はここで相手のライフを削り切ると判断し、「フラッシュバッカー」によってライフ0にしての攻勢に出る。防御用コマンドを使った今、追加の「1枚」で敗北してしまう事も十分あり得る。もたもたしている暇はない。 
 
しかし、1回目のアタックでショットトリガーユニット、「無謬の謀略 モリアーティ」!
相手のユニットを手札に戻し、さらにブロッカーになる強力ユニット。ここで捲れた影響は絶大、続く「星座になれたら 喜多郁代」のアタックを、値千金のブロック。
さらには「春光の音楽会」でエナジーを裏にし続けていた事が響き、エナジーに3色無いのだ。回復効果を使う事ができず、そのままターンを返す。
ライフは0枚、ブロッカーは1枚。果たして。
 
「情熱精霊 フランドルをエヴォルでプレイ」
エヴォルでプレイすると相手ユニットを手札に戻せるユニット。これでブロッカーは無くなり、フランドルのアタックにて決着がついたのだった。
 
こうして、ディバイドバトル中部エリア大会の栄えある一位に輝いたのはArχiv アーク選手!おめでとう!!
 
Arχiv アーク選手の「カタリナ、サイコー!」という一言で大会は幕を下ろしたのであった。
 





大会を終えて 


今大会の環境を語る上で外せないのはやはり「フラッシュバッカー」だろう。多くのプレイヤーが「フラッシュバッカー」と戦うにはどうすればいいかを前提とした構築になっていた印象ではあったが、より速さに特化した形、敢えてライフを削らせてでもじっくり戦う形、対戦相手の思惑から外れた構築をするプレイヤーもおり、見ごたえ十分の大会だった。 
大会が延期したこともあり、直後にBT15の発売、新たな制限カードも制定され、環境の変化が予測される。そして次はついにファイナル。どのカードが活躍し、注目されるのかとても楽しみだ。 
それでは、プレファイナル、次のレポートでお会いしましょう。 
 
レディ・ビルドディバイド! 

(イベントレポーター:中井)